随分と考え込まされる指摘である。何も近代を否定するのではなく、近代の光と影 を直視しつつ、これから何をどうしていけばいいのかを考えている。
水俣病の被害者である杉本さん夫妻は10年間の寝たきり生活を起き出して不知火の 海でシロゴ漁を始める中で、緒方正人さんも水俣病認定申請を取り下げシステム社会 の中に取り込まれない生き方の中で、近代の負を体に入れて今までと違う何かをすで に生み出しているように思える。見たり聞いたりするだけで教えられることが多い。 どう表現すればいいかが残っているだけだと思うので考えつづけていきたい。
地元学には、産業革命以降、行き過ぎた近代文明をどう内発的に卒業していくのか が問われている。自然環境と共生する社会の在り方、暮らし方、持続可能な社会をど う築いていくのかが地域の共通の課題として横たわっていることを指摘しておきたい 。
水俣はそんなことを考えてしまうフィールドだし、水俣そ のものが私の先生だということも。