調べるだけでは単なる資料にすぎない。その意味、あり方、方法などを考え、さら に深く調べ、考えていく反復行為がここでいう地元学であり、考える期間は創造のた めの発酵期間ともいえる。
調べる主体は、地元であるが、正確には地元のキーマンを中心とする地元住民であ る。全部ではない。これに加えて外からの目としてよその人も加わることになる。コ ーディネーターだとか、助言者と言われる人たちだ。もとより、調べられたことは意 思決定の資料や判断材料となり、同時に創造する行為そのものでもあるので調査する 人の資質、視野あるいは創造性が大きく問われる。
何を調べるのかについては大きく基礎的基盤的な調査と個別、具体の調査の二つに 分けている。基礎的基盤的な調査とは、地域の水、エネルギー、自然、風土、伝統、 文化、歴史を調べ、今に新しくどう生かすのか、具体に入る時に必要な基礎的な事柄 である。個別、具体の調査とは、基礎的な事柄(地域の個性とそのあり方、存在理由 )をもとに、様々な変化を受け入れるときに、どう地元の意思として固めていくのか に必要なものだ。
考えること、創造することがないと地元学とは言えないと思っている。
調べて得た資料を判断材料に問題をどんな問題として捕らえるのか、あるいは、時 代の背景、形の持っている意味などを把握し、意味を反映した形づくり、その地域固 有の自然や風土、伝統、文化、歴史でどうデザインしていくのかが地元の意志として 認識されなければならないと考える。
その意味で地元学は意思決定の資料、判断材料であり、生活文化創造の行為そのも のであると言える。