地域デザイン研究会


DESIGN IN

−第6号(抜粋)−

1995年10月10日

フォーラムin仙台わたしの地元学

=News letter=

水俣からの発信「わたしの地元学」

 昨年、「地元学」をテーマに地域デザインフォーラムin水俣が開催され、それを「 わたしの地元学」として、水俣市の吉本哲郎氏が1冊の本にまとめられました(NEC クリエイティブ発行)。
 フォーラム後、吉本氏は、「DESIGN IN」(号 外:95年12月10日)に地元学について寄稿してくれましたが、このたび出版され た本では、水俣での取り組みや地元学の定義などをまとめて執筆されました。
 「住民をまきこんで」と言うのは簡単ですが、実践するのは並大抵ではありません 。地元の人が、地元のことを知り、語れるようになることが、地域デザインを行う上 で重要なことですが、水俣ではそれが実践されていることがよくわかります。たとえ ば、農業問題に取り組めば農産物の流通を事細かに調べ、地域に取り組めば地域にあ る資源の地図をつくり、環境に取り組めば水の経路図を作ってしまう。それらの取り 組みのいずれもが、実行する意義を誰でも容易に理解できると同時に、その作業の困 難さからあきらめてしまっている内容です。それを丁寧にやってしまうのが吉本流な のだと思います。
 吉本さんは水俣はマイナスからの出発だと言っていますが、水俣を特殊な地域とは 捕らえず日本の縮図と捕らえています。水俣の取り組みが日本の将来の方向性を示唆 するかもしれないと期待しています。
 読み始めたとき、何と読むのに直感を必要とする本なんだろうと思いました。密度 の濃い行間に吉本さんの風貌を思い浮かべながら読ませていただきました。


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