地域デザイン研究会


DESIGN IN

−第6号(抜粋)−

1995年10月10日

フォーラムin仙台わたしの地元学

第4回地域デザインフォーラムを仙台市で開催
−転換点にある地域産業を考える−

 1994年10月に奈良県で最初の地域デザインフォーラムを開催して以来、埼玉県両神 村、熊本県水俣市と、これまで3回フォーラムを重ねてきました。この間、奈良市で 「地域の再構築の必要性〜地域のグランドデザインの策定」が問題提起され、以来一 貫して、グランドデザイン策定のベーシックな作業といえる「エリアスタディ」につ いて取り組んできました。

 そして昨年、地元市民を始めとする多くの人々の参加を得て開催した水俣市でのフ ォーラムで「地元学」というカテゴリーの下に、エリアスタディの背景、その意味す るところ、手法等が明らかにされ、一定の成果を得ることができたものと考えていま す。
 エリアスタディ自体はその都度、状況に応じてテーマが入れ代わっていくべき性格 のものではなく、まちづくりと共に不断に止揚されていくべきものであり、その意味 では終わりのない作業ということになろうかと思います。
 地域社会の崩壊が現実的な危機感として、意識せざるを得なくなってきている今日 、地域デザインフォーラムで議論された成果は、地域に持ちかえり、地域ぐるみで実 践的に、取り組んでいかなければならないのは当然のことでしょう。

 自然、風土、産業、コミュニティ等々、地域が抱える様々な具体的な課題は、それ ぞれが有機的に連携しあっていて、ある場合はネガティブフィードバックのように、 またある場合は、ゴムまりのゴムと中の空気の関係のようにもなっており、それ故に コンセプチュアルフレームワークが必要とされるのです。
 そして、地域を構成する一要素であり、目をそらすことのできない差し迫った問題 として、地域の産業の空洞化があるわけです。

 この問題は大雑把に分けると、一つには市街地の空洞化の問題があり、また今一つ は、グローバリゼーションの進展による産業の空洞化があります。
 市街地の空洞化は、都市の規模、位置、周辺との関係等々により現象は様々ですが 、抜本的には地域のあり方そのものに係わる問題として、各都市に共通しているもの と思われます。
 また、グローバリゼーションの進展による産業の空洞化は、営々として築いてきた 地場産業や、活性化の切り札として築き上げた地域産業にも大きな影響を与えている ことで深刻に受け止めるべき問題となっています。
 どちらも程度の差や現象の違いはあるものの、全国の地域が抱える共通の問題であ り、地域のあり方を抜本的に捉え直さなければ、解決の糸口を見いだすことが不可能 なほど大きな問題であるわけですが、実態としては、地域づくりの担い手さえも、そ の問題に気づかないでいるか、或いは小手先の問題として片づけようとしているのが 現状ではないでしょうか。

 地域の産業は、地域自体が人々の生活の基盤となっている以上、人間らしい様々な 営みが実現できる自立した地域形成を目指す必要があることから、地域を構成する一 要素として重要視されなければなりません。それは雇用や形態、そして地域との関わ り方等様々な面からそのあり方を考えなくてはなりません。
 地域から産業が締め出されたら、地域は、単なる生物が生命を維持していくだけの 機械的な役割を担う非人間的な空間になってしまうかも分かりません。
 地域の資源に目を向け、地域の人々と連携し、地域との関わりを深めていくことが 大切であり、そのためには地域の産業のあり方を考えることが必要です。

 その地域の産業が今、正に歴史的とも言ってよい大きな転換を迎えています。製造 業は勿論、商業、農業、水産業、観光等々あらゆる産業が「変化」を余儀なくされて います。
 地域産業のあり方としては、例えば地域間のネットワークを強化して、地域特性を 生かした連携を図ることにより、原料供給から製造販売まで、或いは製造過程全般で の地域的役割分担等、一貫した産業のシステムを形成することによる高付加価値化等 が考えられるでしょう。そのためには、都市間交流のあり方を探る必要があり、地域 間の垣根を超えた研究会を開催することも大切なことです。

 そこで、今年度のフォーラムでは、地域創造という視点から、特にグローバリゼー ションの進展による地域産業の影響と展望について考えることとし、様々な立場の人 々による自由な発想の下でディスカッションしてみることにしました。歴史的に特筆 されるかも分からない大きな変革の時代に、今私たち自身が真剣に取り組むべき問題 として、より多くの皆さんの参加をお願いします。


第4回地域デザインフォーラム in 仙台
ご案内

とき
1995年12月1日(金)〜2日(土)
ところ
「ろうふく会館」 仙台市青葉区上杉 1-15-13
TEL 022-222-1121
テーマ
グローバリゼーションの進展による地域産業の現状と展望について
内容
仙台市都市総合研究機構との合同研究会として、清成忠男先生(法政大学教 授)を囲み、ディスカッションします
日程
1日(金)14:00〜17:00 研究会〜ミニ講演とディスカッション
     18:00〜20:00 交流会
2日(土)9:00〜11:30 仙台市内視察(視察後解散)
参加料
5,000円(懇親会費、資料代等、但し宿泊費は別途)
申し込み&問い合わせ
はがきかファックスで、11月20日(月)までに、地域デザイン研究会事務局 へ
〒410 沼津市御幸町 16-1 沼津市役所広報広聴課気付/小池
TEL 0559-34-2501
FAX 0559-31-7752
*宿泊の斡旋を希望される方は、申し込み時にその旨ご連絡下さい


地域デザイン研究会事務局

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沼津市役所広報広聴課気付
          小池
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