意見・提案メモ

	特定非営利活動法人市民活動情報センター
ホーム　組織活動概要　　これまでのお知らせ　旧ページ（過去の活動）　アクセスガイド　リンク

意見・提案メモ

今瀬政司の意見メモ
　　※この意見メモは、今瀬政司の個人的意見であり、市民活動情報センターの団体意見ではありません。

「選挙と民意の関係について」
　　　（2005年9月28日(水)、今瀬政司（(特活)市民活動情報センター代表理事）

今回の衆院総選挙結果と民意の関係について、小生、9/12に「民意とは何でしょうか。」という意見メモを投稿させて頂いて以降、この日本ＮＰＯ学会のメーリングリストでは、同テーマに関連して、何人かの方々からいくつかご意見が投稿され、拝読、勉強させて頂いております。貴重な機会を得ていると思っております。

そこで、あらためて、わたしが感じております意見を述べさせていただきます。

純粋な市民一人一人の「民意」と、民意を政策に反映しようとする「制度」というウツワ（手段）とは違うものであり、分けて考えるべきものだと、わたしは思っております。
9/12の小生意見メモで「単に小選挙区制という選挙制度の問題のみならず」、と書いたのは、そのような意味に基づくものです。
問題は、制度というウツワの「中身」である一人一人の純粋な民意を如何に生かすか、ということだと考えております。
制度というウツワは、あくまでウツワ（手段）であって、その役割は、如何にして純粋な一人一人の民意を大事にし生かしていくか、如何に正確に政策に反映していくか、ということにあるのだと考えています。

最近、どういうわけか、めっきり見聞きする機会が減っている「一票の格差」という言葉とその意味する問題課題が盛んに議論されていた頃を、ふと思い起こします。
一票の格差是正問題での議論においては、「一票（民意・人権）の重み」という言葉やその価値観が多くの人たちに共有するものでありました。
（現状の制度において、その格差問題が是正されているとはまだいえないのですが。）

「一票の格差」問題での制度議論と、今回の衆院総選挙での得票率と議席率のズレの制度議論とは、論点が異なりますが、市民の意思である一票一票を大事にし、如何に正確に政策に反映していくか、という問題意識においては、「一票の重み」という視点で共通するものがあると感じています。

得票率と議席率のズレについては、ウツワの制度を如何に工夫しても、確かに完全に一致することはなかなか難しく、ある意味では程度の問題でもあり、許容範囲がどこかという問題でもあると思います。

今回の衆院総選挙結果の場合は、あまりにも極端にズレの幅が大きすぎるということは、どんなに理屈をつけてもやはり否めないと考えますし、それをもたらした現在の制度というウツワには大きな不備があり、本格的に見直す必要がある、と考えます。
「一票の重み」という一人一人の民意を大事にするという視点においては、現在の制度というウツワには大きな問題があると思うのです。

完全に理想的な選挙制度の設計というのは、ある意味、永遠の課題であるともいえ、制度と言うウツワは常に改良を重ねていく必要のあるものなのでしょうが。
（かといって、あまり頻繁にコロコロ変えるのも良くなかったりもしますが。）

選挙で投票先を選ぶ基準は、
１．個々の「政策」なのか
２．個々の政策の総合体としての「議員」なのか、
３．個々の政策と議員の総合体としての「政党」なのか、
４．個々の政策と議員と政党の総合体としての「政権」なのか、
などなどといったように、いろいろとあるでしょう。

問題は、「まず議員ありき」とか、「まず政党ありき」とか、「まず政権ありき」とか、といったような捉え方自体がおかしいのであって、まず我々の社会が抱える問題課題を如何に解決するか、市民一人一人の純粋な民意を如何に反映するか、というように、「まず政策が最初にありき」、であるべきなのだと考えます。

現在の状況としては、「得票率ならびに議席率」といったものと、「政策、議員、政党、政権」といったものが、あまりに複雑な関係にあり、市民として、民意が正確に反映されているかどうか自体も「分かりにくい」、というような現状にある、ともいえるでしょう。

わたしは、純粋な意味での一人一人の民意を政策に反映するためには、制度というウツワや政治のあり方として定着してきている「政党政治」というようなもの自体を見直す時に来ているのではないか、とも思っています。
無論、「政党」というものを軸とした政治や選挙のあり方が、日本・世界であらゆることのベースとなっている現状があることは、疑う余地もありません。
ですが、わたしは、今一度、「政党」とは、市民が自分たちの代理・代表として選んだ一人一人の議員から構成されるものである、という基本に立ち返り、政党というもの以前にまずは議員一人一人の政策意思を尊重し、最大限に生かしていくことを大事にし、そのための仕組みを、新たに皆で考えて、もう一度作り上げていくべきではないかとも考えています。

選挙と民意の関係について、「民意とは何でしょうか。」という意見メモを9/12に投稿させて頂きましたが、実際には、ものすごく難しい問題であり、永遠のテーマでもあると思っております。

ただ、少なくともいえると思うのは、民意を少しでも正確に政策・政治に反映するには、我々市民一人一人が自らの「政策力」とでもいえるものを高めなければならない、ということはいえると思っております。
市民の政策力を高めるには、一人一人が日常的に政策に強く関心を持つようにしたり、政策に関する知識・情報や技能・ノウハウを吸収できる機会・環境を整えたり、政策を作ったり、提案したり、評価・判断したりする力を育てる機会・環境を整えたり、といったようなことが必要になります。

いまの社会の仕組みの中では、市民一人一人が政策形成に直接関わることのできる手段・機会は、実際には限りなく少ないのが現状です。
そうした中で、選挙というのは、市民みんな一人一人が政策に直接的に関わることのできる貴重な手段・機会であります。

今回の衆院総選挙の期間中には、市民に政策を「分かりやすく」説明することが大事だ、というような話が多く聞かれました。
この「市民に分かりやすい説明（政策提案）が大事だ」というのは、単に「伝える」という意味ではある種大事なことではあるとは思いますが、しかし、それは別の角度から見て、それを裏返せば、「市民には政策を判断・評価する能力がない（低い）」、と言っていることでもあるように思います。
「市民には政策を判断・評価する能力がない（低い）」、という社会のあり方が本当にいいのか、わたしは、なんか変だなあ、おかしいなあ、と感じます。

わたしたち市民が持つ「民意」をより適切に政策に反映させるには、我々一人一人の市民の「政策力」、政策の「形成力」「判断力・評価力」を高めていき、選挙に際して、候補者や政党に対しては、「もっと具体的により詳細に政策の提案内容を説明するように」、と求めるようなあり様がむしろ理想的であり、そういうようになっていくことを目指すべきではないかと思います。

こうした政策、政治、選挙（結果）といったことを議論する時、わたしたちは、ついつい、人に対して押し付け的になったり、違う意見を持つ人を悪く言ったり、相手を力でねじ伏せようとしたり、極端な言葉や汚い言葉でけなしてしまったり、というような悪い形の対立的で感情的な議論になりがちになりますね。
わたし自身も、いつも、気をつけないといけないなあ、と自分に言っています。

わたしたちは、一人一人自分の考えを持つ人間であり、人と意見が同じときもあれば、違うときもあります。
政策、政治、選挙といった問題に対しては、特に難しいこととは思いますが、「違いを尊重しあい、対立性ではなく、建設性・創造性を持った良い形の感情的な議論（情熱的で相互に思いやりのある議論）を大事にしていければと思っております。

何がいま大事なのか。
勝ち負けではないと思います。
我々一人一人の市民の意思を如何に政策に反映するか、
そのための取り組み方策や制度設計をどうやって行っていったらいいのか、
それをみんなで知恵を絞って考えることが、いま大事なのではないか、
と思っております。
我々市民は、今こそまさに、物事の本質を掴み取る力が必要とされているのだと思っています。
そして、自分自身が如何に具体的に課題解決に向けて現場で取り組んでいくか、が大事である、とわたしは思っております。

「一つの意見」としてのわたしの意見を述べさせていただきました。

（2005年9月28日(水)、今瀬意見メモ）

意見・提案メモの目次ページに戻る

トップページに戻る

	(C) Copyright　(特活)市民活動情報センター（SIC）, 1995年－2005年,
	〒552-0021　大阪府大阪市港区築港2-8-24　piaNPO506号室 Tel:06-4395-1144 Fax:06-4395-1145 e-mail:sic@mxa.mesh.ne.jp

SICサイト内の検索ができます。

特定非営利活動法人 市民活動情報センター

特定非営利活動法人
市民活動情報センター