NPO政策研究所のご紹介
設立趣旨/設立の目的/事業の基本方針/事業内容/会員/役員等/事務局
設立趣旨
我が国はいま、混迷と閉塞感が漂う不透明な世紀末を迎えている。戦後50年が築き上げた多くの制度やシステムは疲労の極みに達し、規制緩和、行政改革、財政改革、地方分権の推進等が本格化しつつある。
しかし、改革によってどういった国家や社会を構築しようとしているのか・・・・。来るべき21世紀の日本の姿や心が、改革をリードする政府や政党からは明らかにされていない。この閉塞感や不安感は、詰まるところ、改革の行き着く先が明らかでないところにその原因があるのではないだろうか。
この改革の時代に求められているのは、これからの社会や国家のあり方、その礎であるコミュニティーの再生に対するビジョンや政策を多種多様な主体が提案するとともに、論争の渦を巻き起こすことである。そしてこの様な地域に根ざした改革への多彩な取り組みが、遼原の火の如く全国に広がっていく状況をつくり出すことであろう。
ところで21世紀の高齢・少子社会は、行財政をいま以上に逼迫させることは目にみえている。また、国際社会における応分の責任の分担が求められる一方で、産業の空洞化が深刻さを増し税収の不足を招いている。膨大な国と自治体の借金を後世代国民の税負担で賄うことにも自ずと限界がある。そのうえ行政のリストラが避けられないとなれば、公共財・サービスの量的確保はもちろんのこと、その画一化や質の低下は必然となって社会的弱者はいうまでもなく、国民全体の生活基盤の崩壊に結びつかざるをえない。
結局のところ、社会の基層部分で市民・NPO(民間非営利組織)・企業等の民と行政との最適な役割分担や協働で、21世紀の日本社会を支えるしか解決の道はないのであろう。つまりこれは、これまでの行政主導の政策の立案・形成・実施という公共政策そのもののあり方、また公共財・サービスの供給のあり方をも根本的に改革する必要に迫られているといえる。もっと根源的にいえば、従来の公私・官民概念の改革が求められているのである。公とは即ち国家・行政であるという日本人に根強いお上依存意識に支配された公共概念の再検討、またその裏返しとしての行政の公的世界の独占からの脱却である。つまり、従来の公共概念に変わるこれからの時代にふさわしい多様な公共性概念や、ふくよかな公的世界の創造が強く求められているといえる。
NPO政策研究所は以上の問題意識のもとに、これからの時代にふさわしい政治と行政のあり方、また公的活動における行政とNPOの協働のあり方、企業の社会貢献活動との連携を踏まえたNPOセクターの発展・強化のあり方、NPO活動と連動する自治体改革のための、コミュニティーレベルにおける政策研究や政策実現等に挑戦したいと考えている。
−設立1997年5月30日−
設立の目的
本研究所は、NPOやNPOセクター発展・強化のためのNPOに関わる政策の研究、及びNPO活動と連動する公共政策の研究と実現を目的とする。
事業の基本方針
特定非営利活動促進法(NPO法)の施行(1998年12月)を機に、NPOを取り巻く環境に大きな変化がみられる。
最大の変化は、行政のNPO政策の登場であり、その施策の最大の特徴は行政と市民・NPOとの協働関係(パートナーシップ)の構築である。
NPO政策研究所は、行政とNPOとの協働関係のありようが、21世紀の日本社会のありようを左右する重要なテーマであると認識している。
協働とは、公共活動の共通目標を達成するために、行政とNPOとのお互いの立場を尊重した対等の関係で共同事業を行い、公共活動の成果を相乗効果的に創出させる戦略的な政策と考えている。
また協働は、お互いの組織や活動内容の刷新・向上をはかるための変革を前提とした行動原理で、信頼で結ばれた緊張感のある責任分担関係を前提に、「共に学ぶ」・「共に育ち」・「共に変わる」という姿勢が双方に求められる。行政の管理・監督という姿勢や、下請け関係、癒着関係であってはならないのはいうまでもない。
NPO政策研究所は、NPOの力は協働関係の構築力、そして政策形成力であり、協働型政策形成力こそがこれからのNPOに求められる力だと考えている。
協働型政策形成力は、地域の現場に根ざしたコミュニティ再構築という実践活動を通じてこそ強化されていくものと確信している。
NPO政策研究所は、以上の視点に共鳴するNPO・行政・企業とともに、次の4つの方針を掲げて活動を展開していきたい。
■市民・NPOと行政との協働型政策形成の研究と推進
■行政評価システムの開発、及び行政サポート機能の充実
■市民・NPOの政策形成力の強化
■研究所・行政・企業の協働による、サステナブルコミュニティ(コミュニティ
総合政策)プロジェクトの推進
NPO政策研究所は、21世紀における社会的使命を十二分に果たすために、1999年度中に特定非営利活動法人を取得する予定です。
事業内容
1.調査研究事業
■自主研究事業
●行政評価システムの研究
・市民サイド、生活者サイド、納税者サイド、NPOサイドからの評価を通じた、
これからの地方分権・行財政改革時代における自治体評価システムの研究。
・協働型政策形成を基軸とした、PI(パブリックインボルブメント)方式の研究。
●サステナブルコミュニティ(コミュニティ総合政策)研究
・地球環境問題は、地域コミュニティでの住民・行政・企業の協働による総合的な取り組みによる問題解決力が問われる時代に入ってきた。
サステナブルコミュニティとは、自然と人間、歴史と人間、環境と人間、経済と人間、人間と人間との絆の再構築をめざす、地域の風土や社会・経済ストックを生かした環境共生・循環型コミュニティである。住民による身近な生活圏域におけるサステナブルコミュニティを実現するための条件や具体的な方策等の検討を通じてサステナブルコミュニティ推進システムのあり方を研究。
●コミュニティ・シンクタンク研究
・地域の住民、生活者の視点に立った地域密着型の、行政・企業から独立したシンクタンクのあり方に関する研究。
●NPOと行政−地方自治体における行財政改革や、地方分権の推進と連動するNPO政策の研究
・NPOと行政とのパートナーシップ、協働のあり方
・ボランティアセンター、NPO支援センターのあり方
・市民参加制度のあり方
・公共財・サービスの供給のあり方
・公共政策の立案・形成・実施・評価のあり方
・NPOの支援策について
・市民自治システムのあり方
・コミュニティ再生の方策に関する研究
・その他
●NPOと企業−企業の社会貢献活動との連携を踏まえたNPOセクターの発展・強化に関する研究
・企業の社会的責任や社会貢献活動の理念や目的について
・NPOと企業との連携・協働のあり方
・NPO支援センターと企業の関わり
・ベンチャービジネスとNPO活動
・その他
●NPOの資金−NPO活動を強化するための資金供給システムに関する研究
・寄付金流通システムについて
・NPOベンチャーキャピタルシステムについて
・寄付税制の改革
・LETS、Time Dollar、エコマネーなどのボランタリー経済について
・その他
●その他の研究テーマ
・これからの社会における公的・公共性概念の研究
・これからの社会ビジョン・国家ビジョンの策定
・その他
■1998年度受託調査研究実績
●八尾市「八尾市市民活動団体等アンケート調査」
八尾市内で活動している市民活動・グループに対する組織の実態、組織が抱える問題・課題、行政との関係、活動基盤強化の方策等についてアンケート調査の実施と分析。
●奈良市「都市計画マスタープランの実現に伴うまちづくり組織の検討について」
住民によるまちづくり(住民参加のまちづくり)を推進するに当たり、行政とまちづくり組織との関係のあり方、つまり資金的、技術的支援のあり方、協働のあり方等を他都市の事例も踏まえながら検討し、まちづくり条例、まちづくり協議会等を含むまちづくりシステム構築への指針を提案。
●建設省奈良国道事務所「奈良中心部交通問題基礎調査業務」(俥座、奈良まちづくりセンター、NPO政策研究所の共同研究)
世界遺産に指定された奈良市中心部の交通流の円滑化と交通量の削減を目的に、公共交通を優先にした交通需要管理システムの構築を、行政、市民、公共交通機関等との共同の社会実験を通じて実施していくための基礎調査。今回の調査では、奈良中心部の交通環境の実態把握、及び市内中心部在住のモニター120人の座談会向けアンケート設計を実施。
2.情報のデータベース化事業
●電子論文集の発行
●市民参加、協働システム等のPI(パブリックインボルブメント)に関する政策ライブラリーの構築
●行財政システム改革等に関する情報の収集整理
●会員情報のデータベース化と共有化
●ホームページ上での双方向情報受発信力の強化
●その他目的にそった情報の収集整理
3.NPO政策フォーラムの開催
●NPO政策に関わるテーマでのシンポジウム、フォーラム等の開催。(1999年度は、9月以降に開催予定)
4.NPO政策研修講座の開催
●自治体職員を対象にした、協働型政策形成をテーマとした研修会の開催。(2000年度に開催予定)
●情報のデーターベース化事業
・NPOの政策ニーズの収集と整理
・市民参加制度、NPO支援制度、NPOと行政との協働システム等に関する情報の収集と整理
・行財政改革等に関する情報の収集と整理
・企業の社会貢献活動や、NPOと企業との協働に関する情報の収集と整理
・その他目的にそった情報の収集と整理
●シンポジウム等の開催
研究活動の発表・公開を兼ねたシンポジウム、フォーラム等の開催
●その他目的にそった事業
会員
■研究会員
趣旨や目的に賛同して、積極的に研究活動や運営に関わる個人
年度会費:12,000円
■賛助会員
趣旨や目的に賛同して、支援を行う企業・自治体・団体・個人
年度会費:個人・NPO 1口5,000円
企業・自治体・団体 1口50,000円
役員等
代表幹事 木原勝彬(社団法人奈良まちづくりセンター前理事長)
常任幹事 芦田英機(豊中市政策推進部長)
今田 忠(市民社会研究所所長)
吉川 淳(大阪学院大学教授)
幹事 相川康子(神戸新聞情報科学研究所研究員)
阿部圭宏(財団法人淡海文化振興財団事務局調査員)
荒川俊雄(寝屋川市企画財政部企画室参事)
今瀬政司(市民活動情報センター代表)
内山博史(NPO政策研究所事務局)
尾崎 力(株式会社関西マガジンセンター代表取締役)
直田春夫(箕面文化ファーム事務局長)
竹中ナミ(社会福祉法人プロップ・ステーション理事長)
藤井絢子(滋賀県環境生活協同組合理事長)
藤野正文(社団法人奈良まちづくりセンター副理事長)
事務局長 木原勝彬
監事 三木秀夫(弁護士・大阪NPOセンター監事)
事務局
〒630-8233 奈良市小川町13 西井ビル2階
TEL 0742-20-0234
FAX 0742-20-0236
Email :bm7k-khr@asahi-net.or.jp
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編集協力:市民活動情報センター(SIC)