ご挨拶

 ツチノコ共和国に関心をお示しいただきありがとうございます。
 下北山村では、外国産材の輸入増加以降の林業の長期不況と若者の都市への流失、林業労働者の高齢化と労働条件の悪さから林業ばなれがすすみ、山林の荒廃と過疎に拍車をかける一因になっております。また、人工林化されたものの手入れが行き届かず放置された山林では下草がはえず、雨が降れば表土が流れ木の根が現われるような状況がでています。そのためか皆伐後、杉・檜が植林され14〜5年を経た山林では、私の小さい頃に比べ崩壊地が目立つようになっています。拡大造林による人工林化を推進してきたことが誤りであったとしても、荒廃するに任せることは下流域の都市に大きな影響をもたらすことをご理解いただきたく思います。しかし残念なことは、私自身が皆様に具体的な提言を行なうことが出来ず、実情をお知らせすることしか出来ないことです。
 過疎の町村では、施設を作り自然を求めて来られる都市住民を受け入れること(観光)により活性化を図ろうとしておりますが、過疎町村で大多数を占める閉鎖的・保守的な住民は、その地を訪れる都市住民のことを余り歓迎しておりません。一部マナ−の悪い所業をする人のために都市住民全体が「ゴミと排泄物と騒音を残して帰るだけ」と考える他、余所者が入ることにより今の平穏な生活が破られると思っているからです。マナ−の悪い人は、外部から来られる方だけではなく地元にも居るのですが、地域に波風を立てないために余所者の所為にするのです。そう考える根底には、都市住民に対する潜在的な恐怖感や山奥・田舎と呼ばれ医療上の不安や文化的環境や商業環境に恵まれず交通が不便という生活環境に不満を持ちながら居住していることを卑下することから派生する嫉みからと考えるのは考えすぎでしょうか。
 経済活動が生活の基礎条件であることは言うまでもありませんので、訪れる人から経済的利益を得ている住民の比率が高まればこういう考えをする人も少なくなるのでしょうが、より大切なことは、過疎の地に住む一人一人が「都市には無くて今その土地にあるものが(住むことが)、より人間的な生活の場」であることを自覚し、自信を以て生活していくことだと考えます。
 私どもツチノコ共和国は、訪れる人々と交流を行ない「本音で物をいえる関係」になることが、過疎地住民の心を開き、自然を守る第一歩であり、地域の活性化に繋がると考えて活動しています。ご支援いただければ幸いです。

                  ツチノコ共和国愚人会議議長 野崎 和生


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